Waiting room/メイファの部屋

 彼女の切羽詰まったような喘ぎが私の中に僅かに残った理性を吹き飛ばした。私は彼女の乱れた姿を垣間見る為にドアの鍵穴に眼を近付けた。

 鍵穴から中を覗き込んだ私は思わず息を呑んだ。そこには私が想像もしえなかった光景が垣間見えたからだ。私は我が眼を疑ったが、なんど眼を凝らしてもそれは幻のごとく消え去る事はなかった。彼女の裸身に絡み付いているのは人などではなく異形の怪物なのだ。人の姿に似てもいるが、邪気を帯びたその姿は醜悪で淫猥である。全身が褐色で首が異様に太く長く伸び、その先に載った顔は醜く歪み、それだけで独立した生物を思わせる異様に長い舌が涎をまき散らしながらのたうっていた。腕のあるべきところからは幾本かの軟体生物を思わせる触手状のものが生えていて、それが彼女の体を人形のように弄びながら全身を這いずり回り、白い肌にねっとりとした粘液を擦り付けている。股間から生えた逸物は巨大でその茎の部分には無数の疣が生えていた。その禍々しい凶器のような肉竿が力強く彼女の細腰に打ち込まれている。彼女の薄紅色の裂け目は限界まで寛げられ、肉竿が出入りする度に溢れる蜜がかき出された。あれだけ深々と巨大な肉の凶器を打ち込まれる姿は淫靡と言うよりも残虐な仕打ちの様にも思えてくるが、彼女はその顔に恍惚の表情を湛え、白く細い裸身をくねらせながら、喜びの喘ぎをあげている。やはり彼女も尋常な人ではないのだろうか?

 まさに展示室で見た淫靡な絵画の世界が現実のものとして眼前に繰り広げられている。私はその異様な光景を目のあたりにしてもなおその場から立ち去る事が出来なかった。美しい少女と醜悪な怪物の交わりをただ呆然と見つめている。美と醜の鮮烈なコントラストが私の心を魅了し引き付けている。救いを求めて訪れた屋敷の住人が、この森の邪気の源だとわかった今、自らの命運が尽きるのも眼に見えていると言うのに、私は目の前の淫らな光景から眼をそらす事ができない。
 怪物は疲れを知らぬ様にひたすら彼女に肉竿を打ち込んでいる。彼女は髪を振り乱しながらいっそう激しく身悶えし、狂った様に嬌声をあげている。私の逸物は先走った液体を溢れさせ、下着を濡らし始めている。 私は狂い始めたのだろうか?微かに聞こえていた『逃げろ』と言う内なる理性の叫びもいつしか遠退き、 人外の交わりを喰い入る様に鍵穴から見つめつづけるのだ。

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