Atelier/画房

 その部屋には独特の油の匂いが充満していた。通路から失敬してきた蝋燭を翳すと、壁際には新しいものからかなり年期の入ったものまで、色とりどりのキャンバスが立て掛けてあり、種々の画材が散乱しているのがわかった。どうやらここはアトリエであり、充満する匂いは油画に使うテレピン油などの匂いのようである。
 とある壁際の天井に近いところに採光用の窓があるのが見えた。外は夜の帳に覆われていて様子はわからない。その下には大きな机があるが、やはり画材が散乱しており、何枚かのスケッチが無造作に積み重ねられている。この乱雑さが部屋の主の性格故ならば他の部屋で見られる几帳面さは使用人の誰かのものという事になる。
 部屋の中央にはモデルが立つのであろう台が設えてあり、そのまわりには幾つかのイーゼルが立っている。イーゼルには描きかけのキャンバスが掛かっているが、何を描こうとしているの判然としない。だが、その色使いや筆致からは、無気味な情念のようなものが感じられた。

[部屋を出る]

ラフスケッチ

CGイラストのためのラフ案です。必ずしもCG化するとは限りません。

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